2015.05.21
Roadside Night Prayer
大体いつも午後9時から10時ぐらいにジョギングに出る。
大きな道路の薄暗い歩道をゆっくり走っていると、自分の知らない日常の一瞬を眺めることができる。
風を切って帰路を急ぐ自転車通勤のサラリーマン。
買い物袋を提げている学生風のカップル。
病院の外で消灯前の一服をこっそり楽しむ入院患者。
車を路肩に停め、自販機でコーヒーを買ってひと休みするタクシー運転手。
どこかで見たような、でも確かな現実。
コース沿いに小さな神社がある。もちろん夜は真っ暗なのだが、先日そこでお祈りをしている仕事帰りらしい男性を見た。
年恰好からきっと子供が生まれるのだろうとピンときた。他の理由である可能性は無限にあるものの、熱心に拝むその背中から私は直感したのだ。
もともと神社は好きだ。ただ、神社はジョギングコースの反対車線にある。わざわざ道路を渡るほどの、夜の神社で手を合わせるほどの動機を私は持っているのだろうかと自問する。
次に通る時は……といつも横目に通り過ぎる。
祈りが届くこと、願いが叶うことは素晴らしい。だが実は、祈りがあること、願いがあることそれ自体がとても素晴らしいことなのだという気がしている。それが神様に聞かせることができるほど純粋な場合はなおさらだ。
夜の街を走ると、今自分が、そして私の知らないたくさんの人が人生の夜にいることを感じる。
しかし光が全くないわけでもないのだ。
ゆっくり走る。
自分のペースで頑張ろう。
音楽でも聴きながら。
2015年5月の最近あった良いこと――
中・長期的な目標が見えた。
書いている人:アジナリスタ石井
東京都杉並区を拠点に活動しているフリーランスのWebデザイナー
特に知的・インテリ系のウェブデザインが得意。情報サイトの設計・制作が好き。